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◎ お酒と健康の密接な関係
[TEXT by 吉田 正, 筑波記念病院 消化器内科]

 「健康的なお酒の飲み方」などという記事や文章を様々な所で見かけることがあります。また、お酒の種類によっては「体に良い成分が含まれているから程々に飲むことは良いことだ。」とか、「少量のお酒は、ストレスを解消させリラックスさせるから良い。」とかという言葉を見かけます。しかし、それは本当でしょうか?

1.「お酒」ってなに?

 お酒とは一体何でしょう?いろいろな定義があるとおもいますが、狭い意味では日本酒だけを指します。しかし、ここで言うお酒とは、アルコールを含んだ飲み物という意味です。つまり、日本酒、ビール、ウイスキー、ワイン、焼酎、などなど、なんでもお酒です。お酒の主成分はもちろんアルコールと水です。その他にも糖分やポリフェノールなどが入っているものもありますが、それらは主成分ではありません。お酒とは何よりもアルコールを摂取して、気持ちよくなる(酔う)ことが目的で飲まれるものです。

2.急にお酒を飲み過ぎるとどうなるか?

 アルコールを大量に一度に飲んだ場合、肝臓がアルコールを分解しきれなくなり、血液中のアルコール濃度が非常に高くなります。アルコールは麻酔と同じ役目をするので、血液中アルコール濃度が高くなった場合、神経が麻痺してきます。ある一定以上のアルコール濃度になると、意識がなくなり、それ以上になると呼吸が止まることもあります。これが急性アルコール中毒です。この状態は非常に危険な状態です。また、これほど飲まなくても気持ち悪くなり、翌日頭痛がするなどの二日酔いといわれる症状が出ることがあります。これは、アルコールが分解されてできたアセトアルデヒドという物質による症状です。

3.長い間お酒を飲み続けるとどうなるか?

 長い間にお酒を飲み続けると体に良くないと言われますが、どのように良くないのでしょうか。アルコールは肝臓で分解されます。アルコールが摂取され続ければそれだけ肝臓はアルコールを分解するために働き続けることになります。日本人はもともとこのアルコールを分解する酵素が少ない人種です。最初は症状がありませんが、ひどくなれば肝硬変という状態になります。肝硬変とは肝臓の働きが正常よりも低くなってしまう状態です。それでもお酒を飲み続けると、だんだんとお酒が飲めなくなり、体が黄色くなったり(黄疸)、お腹が張って苦しくなったり(腹水)します。ここまでくると不幸にして亡くなる方もいらっしゃいます。当院でも年間1〜2人ぐらいはアルコール性の肝硬変で亡くなる方がいらっしゃいます。こうなる前に肝臓はいろいろと信号を出して、助けを求めているのですが、それに気付いていてもお酒を飲んでしまう方がこのような不幸なことになるのです。

4.肝臓以外には影響がないのか

 アルコールは肝臓以外にも影響を与えます。ご家族や医師が、ストップをかけてもそういう方達は大抵「酒で死ぬなら本望だ」おっしゃいます。それはアルコールの「依存性」のためです。お酒を飲むと、気分が良くなります。その気分の良さとお酒が切れるときに感じる不快さ(眠れない、いらいらするなど)を感じないで済むようにお酒が切れなくなってしまうのです。この状態を依存症と言います。その他にも中性脂肪が高くなったり(高脂血症)、血糖値が高くなったり(糖尿病)します。また、急にお腹が痛くなる急性膵炎や慢性膵炎になったりもします。

5.「飲み過ぎ」の指標は?

 何気ない気持ちで飲んでいるお酒ですが、本当はこんなにたくさんの病気を引き起こす毒物なのです。こういう症状が出る前にはちょっとした信号があるはずです。それは血液検査の異常です。肝臓が壊れるとAST(GOT)やALT(GPT)という血液検査の数値が高くなります。お酒による肝障害はさらにγ-GTPという検査数値が高くなります。もし、これらの検査数値が高くなってきたときにはアルコールの飲み過ぎだと思って下さい。

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[TEXT by 吉田 正, 筑波記念病院 消化器内科]